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「在宅栄養」の指標化、地域進出の好機に

 昨年末、厚生労働省は「第8次医療計画等に関する意見のとりまとめ」を公表しました。医療計画は都道府県が作成するもので、第8次は2024年度~29年度の6年間が対象です。厚労省は、今年度中に医療計画作成のための基本指針を策定します。

 今回の取りまとめでは、在宅医療体制の整備に関して、新たに追加する指標例に「訪問栄養食事指導を実施している診療所・病院数」「訪問栄養食事指導を受けた患者数」が明記されました。在宅栄養の推進に向け大きな前進です。

 その前段となる在宅医療の方向性について厚労省は①医師・歯科医師の定期的な診察と適切な評価に基づいた指示による在宅療養患者への医療・ケアの提供②在宅医療における各職種の機能・役割の明確化――が重要だとしています。

 ②では訪問看護や訪問歯科、訪問薬剤管理、訪問リハビリなど在宅医療に関わる各サービスの役割も明記。訪問栄養食事指導は「管理栄養士が配置されている在宅療養支援病院や栄養ケア・ステーション等の活用も含めた体制整備が重要」とされています。入院患者だけではない「地域・在宅マインド」の醸成、さらにこうした管理栄養士を雇用する医療機関の動機づけになることを期待します。

 また、栄養ケア・ステーションと言っても、小児・児童の食育、スポーツ栄養、料理教室など得意分野がさまざまです。実際に在宅療養支援へ対応可能なステーションがどれほどあるか、精査していくべきでしょう。

 

在宅栄養ニーズは在支診等に連動

 では、訪問栄養食事指導の指標(目標値)はどのように考えるでしょうか?ベースになるのは、地域で訪問診療を受ける患者の数や、訪問診療が提供可能な医療機関の数です。

 ご存じの通り、看護・リハビリ・栄養指導等は「医師の指示」のもと提供されるのが原則です。在宅へアプローチできる医療機関の体制整備があって成立するサービスであり、つまり、前述の「医師・歯科医師の定期的な診察と適切な評価に基づいた指示」が非常に重要な意味をもつことになります。今回の取りまとめでは、従来の在支診・在支病の数に加え「機能強化型在支診・在支病」、つまり在宅医療をより積極的に提供する医療機関数も指標化するとしています。

 例えば、私が今住んでいる北海道名寄市は在宅療養支援診療所(在支診)が1カ所のみで、訪問看護3カ所、訪問歯科は2カ所です(22年末時点)。「病院・施設中心型ケア」で、在宅医療を受ける患者の多くは終末期。体力の維持や「食べる喜び」の実現へ、果たせる役割はもちろんありますが、退院後数日~数週間で亡くなる方も多く、なかなか在宅栄養のニーズが上がってきづらい地域ではあります。

 また、現状は在宅栄養のほとんどが介護保険の居宅療養管理指導で提供されています。24年度は医療・介護同時改定で、各計画のスタートラインも同じです。在宅介護の需給状況も踏まえた医療計画が求められるでしょう。